購入時、初段の6AN8を除いて整流管も出力管も中国の糞球が付いていたので電気を入れる前にドブに叩き込み、音に良心がない、こんな中国球を使うくらいならラジカセのが余程ましだろう。
嘘だと思うなら日本製のラジカセと聴き比べてみると良い。
嘘だと思うなら日本製のラジカセと聴き比べてみると良い。
そして日本や西欧諸国の球と聴き比べてみることだ。論より証拠である。
何に依らず、総じて中国製品には良心に欠ける安物が多い、中でも真空管は特筆ものなのである。
5AR4はムラード、6550はタングゾルのペアー管に付け換えた。
カップリングコンデンサーはオリジナルのブラックキャットから0.1μをスプラグB・Q、0.25をウェストカップの0.33に代え、抵抗は片方のアンプの初段周りの47K、270K、1.5M、680Ωが劣化していたのでこれ等を測定機用の良質の抵抗に付け換え、内部配線もオリジナルと思しき黒被覆の細めの単線から太めの縒線に換えた。
このブロックコンはコーネルドゥビラー製で余り見掛けないが出来るだけ同じものを使った方が良いだろうと思われる。どうしても見つからなければ、ドイツF&T製のFTCAPが良さそうだ。
ダイナコはずっと気になりながら理由も無く何処かで馬鹿にしていて、横目で見続けてきたが不見識だった。
手入れ後のこのアンプの音は素晴らしく、スカッと澄んだ力強い音で、名機と云うに相応しいと思う。何故もっと人気が出なかったのだろう。キット製品だからだろうか。
少なくともマッキン275の様にブワブワと締りのない音と比べると遥かに僕の好みには合っている。
出力管はウルトラリニア接続である。この回路が開発された当時一世を風靡した事はオーディオ史に記されている。
出力管はウルトラリニア接続である。この回路が開発された当時一世を風靡した事はオーディオ史に記されている。
内容は極めて簡潔であり、もう何処にも手を入れる隙間が無いように思われる。
また、このアンプは端子類や少数の部品を除けば最高級の部品が適所に使われている。
レベルの低い部品、劣化した部品は新しい物或いは優秀な部品に取り換えれば良い訳だから、入力端子をキャノンに換え、250KのVRを付けた。
電源スイッチは特にお粗末なので良質の物に交換、残る要変更箇所はバイアスのポテンショメーターとダイオード1個。これだけ処置すれば一生ものである。
問題のダイオードだが、オリジナルにはセレン式の物が付いていて、ダイナコはジャズ向きと云われ若干クラシックに不向きな音なのはこいつの所為である。
何時も悪口を言うウェスタンエレクトリックだが、このダイオードばかりはWE製を使いたい。
無論腐っていなければの話だが、探せばまだ見付かる。
僕は運よく見付けて付け換えたが、こんなもの1個で音の次元が違ってしまうから部品の選択は大切である。MKⅢをお持ちの方は是非とも探されるとよい。
これで安心してクラシックも聴く事が出来る。
誤解のないように云って置くが、僕はWEの製品そのものを否定しているのではない。
否定どころか信奉者の一人と云っても良いかもしれないくらい信頼しているが、今となっては径年で劣化しているものが非常に多く、それらがWEと云うだけで法外な値段で売られているので買う時は充分な注意が必要だと云っているのである。
腐っても鯛というが、電子部品で腐った物は只の腐った物だ。
アンプのスペックは以下の通り。
周波数20Hz~20KHz(実測を依頼したら15Hz~35KHzあって測定者がのけ反っていた)
入力1.6V、出力60W 出力インピーダンス4・8・16Ω 消費電力MAX140W
このアンプの最大の問題は60Hz仕様しか存在しないので、関東ではトランスの発熱が大きくなり、唸りも大きくなり勝なことだ。
この電源トランスは中間の両脇を2本のボルトで締めてあって、4隅の穴には元からボルトが通っていない。径年でこの部分が緩んで唸り音が増している事がよく あるので、4隅の穴にボルトを通してしっかり締めつけると随分緩和される。トランスが冷えているときに締めるとよい。あとトランスとシャーシーの間に緩衝 材を入れる手もありそうだ。
この電源トランスは中間の両脇を2本のボルトで締めてあって、4隅の穴には元からボルトが通っていない。径年でこの部分が緩んで唸り音が増している事がよく あるので、4隅の穴にボルトを通してしっかり締めつけると随分緩和される。トランスが冷えているときに締めるとよい。あとトランスとシャーシーの間に緩衝 材を入れる手もありそうだ。
どうあれ、昼間なら左程気にならないが夜静かな音で聴こうという時には聊か耳触りなのでいずれ特注してでも取り換えようと思っている。
その時序に2次電圧を落として球を6L6に付け換える手もありそうだ。(僕は6L6が好きだから)巷間言われているように出力トランスが優秀だしきっと良い音になるだろう。旨く行かなければ元に戻せばよいのである。
音の好みは自分の耳に有るのだから、一流の機器だって遠慮しないでどんどん手を入れて自分の耳に馴染む物にしてゆけばよいのだ。評論家などに踊らされて矢鱈に買い替えたりしない事だ。
古いアンプの問題点は、各部品の劣化に有り最近のアンプの問題点はコストパフォーマンスうぃ考え過ぎる所にある。
どちらを採るかは個々の問題だが、僕は古くても良質の物を選んで劣化した部品を、当時の良質で基の性能を保っている(出来る限り)ものに交換する方向を選んだ。
さて、あれこれアンプだのプレイヤーだの弄りまわして、それはいったい何のために、という事だが、30年ほど前の某誌に、何台ものアンプやら何やら山の様なオーディオ機器に囲まれた音キチと思しき人物が「読書と音楽は精神的な米の飯」とのたまう件があった。
何が云いたかったのか、余り変だと妙に記憶に残るものだ。
普通に音楽が楽しめるならオーディオの用は足りるのである
あれこれオーディオ機器を弄るというのはまた別の楽しみなのだ。
ここらの事を一回整理してみると良いかもしれない。
2011.02.10