2014年9月9日火曜日

我が、蹉跌のオーディオファイル #07
音の入り口④

此処が決まったら次はリード線。

現行品ではオーグラインとか銀線とか色々あってそれぞれ特徴があって良いが、これは0.06ミリの絹巻エナメル線を7本より合わせ仕上り外径0.3ミリのウェスタン・エレクトリック製リッツ線に止めを刺す。オーグラインも銀線も使ったが、論外の情報量である。何故だか僕に解るわけが無い。

買う時は騙されないように、本物のウェスタンのこうした原材料は極めて少なくなっている。あっても腐っていたり、酷い物が高く売られている事もあるので要注意。また、エナメルを剥がす時は薬品を使って剥がさないといけない。
刃物で削り取るのは至難の業。

アームの中の配線も上に同じ、他とは全く違うので手に入るならぜひ交換してみることをお勧めする。これが同じアームかと耳を疑うだろう。ただし、アームを壊さないように慎重を要する。
シェルもしっかりしたものを選ぶとよい。FRS5などは優秀だ。このクラスを選ぶとよいと思う。
人気のSMEだがアームと同様有名税を払わされるので覚悟して買うとよい。
ネットなんかに頻繁に出てくるようだが、本当に良い物は、僕の様な馬鹿ものでない限り手放さない。

ラストはフォノケーブル、フォノケーブルに限らず市場ではこのケーブルが極めて怪しい状況になっているようだ、高圧電線の様な直径3センチもあろうかという モンスターケーブル、10万20万は当り前、100万近い物まで存在する。買える人は買えば良いと思うが、僕は買えても買わない。造っている本人は買う気 になるんだろうか。

アンプ間のケーブルは古いノイマンのマイクケーブルがピカ一素晴らしい。
が、 これも買う時は要注意で同じノイマンのマイクケーブルでも時代が近くなるに従って品質が落ちている。現行品らしいがメーター6万円などと云うのもあるそう だ。それを買った人がいて、某所で古いノイマンと聴き比べ、溝に捨てたそうだ。麗々しくノイマンなどと銘打ってある様なものは避けた方がよいだろう。

この程度のケーブルなら何処にだってある。

兎 も角良いのは古いノイマンのマイクケーブル、特徴を言うと、色は薄い灰色、直径はUSBケーブルよりもふた回りほど細く被服の表面がごつごつしていて、 シールドが金属の板状になっている二芯シールド線である。同じマイクケーブルでもその次の時代の濃いグレーの、USBケーブルよりも一回り半ほど太い三芯 シールド線も悪くは無いが、比べると問題外だから買うときは気を付けるとよい。

フォノケーブルに限って言えばこれも上記と同じでウェスタンのリッツ線が良いが兎に角細いので細工も取り扱いもちょっと大変だ。

第一1メートルのケーブルを造るとして、4メートル必要だから、手に入るかどうか解らない。だが、やっている人はちゃんと居て、身悶えして喜んでいるそうだ。罪のない話である。
僕が今でも使っているフォノケーブルは新藤ラボの銀のシールド線だが、これも素晴らしい。
もっとも銀の音が嫌いだという人はけっこう居るから勿論そういう方にはお勧めしない。
ひと頑張りしてウェスタンのリッツ線かノイマンの古いシールド線を探すといいかもしれない。あるところには有るものだ。見付かりましたらお慰み、貴方は決して手放そうとなさらんことだろう。
もし高圧線をお持ちならたとえ100万でもきっと溝に捨てたくなるだろう。それ程このマイクケーブルとリッツ線は素晴らしい。

プレイヤーとアームの事は余り云いたくない。カートリッジ同様手放した僕が馬鹿だった。
センタースピンドルを改造し直径40センチ程のターンテーブルに乗せ換えた新藤ラボ扱いのガラード301オルトフォンRF297アーム、上記の話の物は本来このクラスで音のバランスが取れる筈だ。しかし、301も401も古いものだから確かなものかよく確認しながら買わないと後で嫌な思いをする事になる。飛び付かない事が肝腎だ。

エラックのプレイヤーも良いと聞くが僕は使った事が無いので責任を持って申し上げる事が出来ない。

不思議な事に良い音は古い製品に宿っていることが多い。軍事目的などで金に糸目を付けずに開発したからか、黎明期で皆が頑張ったからなのか、また当時の人達が真面目でケチな商売っ気など出さなかったからか、そこは解らないが事実は事実である。
しかし、開発されてから既に半世紀の時が経っている。いかなる良品も経年変化で相当いかれている物が多いからブランドに飛び付かない事だ。
特にウェスタン・エレクトリック製品は要注意、どんな上等の肉も腐っていたら食べられないし、食べないほうがよい筈だ。

ここで申し上げた事は全て、こうでなければならぬという事ではなく、僕のやったことが「こうだった」という経験談である。
自己責任を前提にすれば、世の中に「ねばならぬ」という事は無いと僕は思っている。

2010.08.24