2014年9月17日水曜日

我が、蹉跌のオーディオファイル #08
イコライザー①

レコードの音溝を針で拾うと、当り前だがそれは次にプリアンプのイコライザー部か単独のイコライザーアンプか、何れにせよイコライザーに送り込まれる。

equalizerを直訳すると「同等にするもの、歪み、圧力などの平衡装置」と辞書にある。
釈迦に説法だと思うが、お浚いしてみると、レコードには再生時の音の振幅とは反対の音溝が刻まれている。

何故かというと大きな低音の振幅をそのままレコードに刻んでしまうと振幅が大き過ぎて針がちゃんとトレースせずに飛んでしまうからだ。

だからその振幅を小さく刻んで綺麗に針をトレースさせ、再生時にはその振幅を元に戻す、つまりイコライジングして正常な音に戻して我々はレコードを聴いてい る訳で、その信号を反転させて正常な音にする装置がイコライザー、云ってみればレコード再生の心臓部、ということになる。

従って仇やおろそかには出来ない。

「赤豚001」誰も御存じなかろうが今回はその中身に付いて。
こ のアンプは本来プリアンプとして造ったが現在フラットアンプ部は使っておらず、従ってハムやノイズを拾いやすいスイッチはMCとMMの切り替えスイッチだ けにしている。当初はプリメインアンプを造る予定だったのでシャーシーが馬鹿でかく、中は試行錯誤の名残で穴だらけなので近々組み直すことにしているが、 どうあれ日々改善(改悪もあったが)されており、常に成長過程にあるアンプだ。

回路はECC82を使ったCR型の基本回路を一切弄っていない。

電源は別電源とし、5AR4SIEMENS(シーメンス)で整流、オイルコン、(コーネル・ドゥビラー)チョーク・コイル、電解コンはMallory(マロリー)の普通の回路でB電源270Vを得ている。ヒーターはブリッジ整流、電解コン(マロリー)で12.6Vを得ている。


電源はアンプの全ての土台になる重要な部分だから、良い部品を使ってしっかり造り込んだ。電源トランスとチョークトランスは30年前新藤ラボで調達したものを使っている。どうあれ此処が土台だから品質の悪い物は避けた。

重要だと思うので敢えて申し上げるが、アンプで部品をケチるのは命取りだ。

コストパフォーマンスを考えるのは採算を取らねばならないメーカーが考える事で、我々マニアは予算の許す限り最大限良質の部品を使うべきだと思う。(値段が高いということではなく、良質の部品)

それは我々の体と同じ事で、健康で良質な臓器が揃っていて初めて体の健康が維持できるのと似ている。「心臓が丈夫だから肝臓は程々で良い」という事で良い訳 が無いのと同じで「カップリングに良いコンデンサーを使ったから、カソードのバイパスは程々で良い」などという事は無く、こういうケチりをすると音はその 程々のバイパスコンデンサーの質に全体が引き摺られる。

しかし、此処がまた肝腎なところで、自分の懐に見合った事をするというのも鉄則である。
矛盾するようだが、不思議な事に余り無理な事をすると良い音がしないのである。それは、良い音に聴こえないということかもしれないが、生活のバランスは音のバランスより大切だという事を僕は若干ながら体験している。

それと昔は良かったという古い名品(ウェスタン等)も流石に半世紀の経年でいかれている物が多く、しかも価格は高騰しているから、良くチェックして買う事が肝心だろう。 
 
  つづく  2010.09.12